共和化工株式会社

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堆肥と化学肥料の併用について

堆肥と化学肥料の併用について

2021.06.04

共和化工グループは、水処理事業資源リサイクル事業循環型農業事業
3つの事業を主軸として取り組んでいます。

 

資源リサイクル事業の一部の施設では「堆肥」の生産を行っています。

 

堆肥は「肥料の品質の確保等に関する法律(旧:肥料取締法)」上、特殊肥料に分類されますが、普通肥料である化学肥料との併用をどう考えればいいのでしょうか?

 

この記事では、堆肥・化学肥料が分類される肥料のくくりや特徴、取り扱いについて解説したいと思います。

 

そもそも堆肥って何?という方は「そもそも堆肥とは?」の記事を参考にしてください。

 

●特殊肥料とは?

「そもそも堆肥とは?」の記事でも簡単に触れていますが、特殊肥料とは肥料成分が安定しない肥料のことです。堆肥や米ぬか、動物排せつ物が該当します。

 

江戸時代の日本ではヒトの糞が肥料として利用されていました。「肥溜め」を知っていますか?聞いたことはあっても見たことがない人がほとんどだと思います。

 

肥溜めは伝統的なもので、農家や村の人たちの排せつ物を貯蔵し「下肥」と呼ばれる堆肥にしていました。この時代の排せつ物処理は堆肥化がほとんどでした。

 

農民は長屋(集合住宅)の排せつ物を購入することもあり、排せつ物は肥料として重宝されていました。

 

 

余談ですが、庶民よりもいいものを食べ、栄養がたくさん含まれている武士の排せつ物は庶民よりも高く売れていたそうです。

 

現在ではヒトの排せつ物をそのまま肥料や堆肥として、利用することはありません。理由は、十分に発酵させないと排せつ物に含まれている菌やウイルスが悪さをすることもありますし、何よりも臭いがきついからです。

 

家畜の排せつ物は、一般的に堆肥化を行い、堆肥として流通していることが多いです。また人によっては、米ぬかや魚かすを肥料として土壌に混ぜる人もいます。

 

 

流通している特殊肥料は、法律によって品質表示の義務が定められています。
そのため成分としては、窒素全量・リン酸全量・カリ全量・銅全量・亜鉛全量・石灰全量・炭素窒素比・水分含有量の表示が必要になります。

 

しかし特殊肥料は普通肥料と比較し、

1. 成分が安定しない
2. 肥料成分の含有量が低い

といった特徴があります。

 

そのため肥料効果だけではなく、土壌改良効果を意識して使用するのがおすすめです。

 

肥料を沢山必要とする作物の例として、とうもろこしがあります。
とうもろこしは肥料として、1m2当たりN15g、P15g、K10gが必要です。
※窒素=N、リン酸=P2O5、カリ=K2Oを意味します

 

仮に全成分を現物当たり窒素0.7%、リン酸0.4%、カリ0.4%の堆肥で全量補うには、1m2当たり約9kgの施用が必要となります。

 

しかし特にNは過剰になると地下水汚染につながるため、N量に合わせた施用がおすすめですが、Nに合わせる場合、堆肥施用量は2kg程度になり特にPが不足します。そのため、Pは化学肥料で調整する必要があります。

 

このように堆肥のみで必要な肥料成分を全て補うには、一部の成分が過剰になってしまうことや地下水汚染の恐れがあるため、難しいのが現状です。

 

また土壌pHがアルカリ性に傾いてしまう可能性もあります。

※堆肥施用量の計算では、肥効率を考慮していません。実際の施用量はもっと多くなる場合もあります。

 

●普通肥料とは?

特殊肥料以外の肥料のことを意味します。具体的には、化学肥料、有機質肥料、石灰質肥料などが当てはまります。

 

公定規格を満たし、肥料成分が安定的で、また含有率が高いのが特徴です。
農地に普通肥料を施肥することで、植物は効率的に栄養を吸収することができます。

 

少ない量でもしっかりと効果が出るため、世界的にみても主流の農業方法です(慣行農業といいます)。

 

しかし慣行農業を続けることで、土が固くなる(土壌劣化)といった問題がでてくることがあります。

 

これは植物が根を深く張らずとも、
栄養が簡単に吸収できる

 ↓

根を深く張らない

 ↓

土壌中の隙間が少なくなる

 ↓

水はけが悪くなる・微生物が減少する

 ↓

土が固くなる』。といった流れから生じる問題です。

 

固くなった土壌を柔らかい土壌にするには、有機物の施用が効果的で、堆肥等の特殊肥料の施用が大切になるのです。

 

特殊肥料は色々な種類があるため一概にはいえませんが、例えば堆肥の場合は有機物が60%以上含まれており、化学肥料と併用することで十分な肥料効果と土壌劣化の予防を期待できます。

 

有機物によって土壌に隙間をつくり、ふかふかの土壌に変身させることができます。

●堆肥と化学肥料の併用

堆肥(特殊肥料)と化学肥料(普通肥料)は、それぞれメリットとデメリットが存在します。

 

どちらか一方のみの施与ではなく、併用することで十分な肥料効果と土壌劣化の予防が期待できます。

 

肥料の過剰施与は、単収の増加に役立たないだけではなく、土壌・水質汚染をも引き起こします。適切な施与を行うために、施肥設計をしっかりと行うことや、定期的な土壌診断もお勧めします。

 

施肥設計や土壌診断でお困りのことがありましたら、
弊社までお問い合わせください。

 

https://kyowa-kako.co.jp/contact/

 

03-3494-1311(堆肥化について詳しく聞きたいとお伝えください!)

 

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