循環型農業って一体何?メリットやデメリット、事例を徹底解説!
地球温暖化や海洋汚染などの問題が取り上げられる中、近年では環境にやさしいより良い農業のあり方を追求する動きが強まっています。
その施策の1つに、「循環型農業」というのがあります。とはいえ、循環型農業についてよくわからないと思っている方もたくさんいます。
そこでこの記事では、循環型農業とは一体何なのか、メリット、デメリットは何なのかということを実際の循環型農業導入事例を用いながら解説していきます。
現代の農業では、
・農薬や化学肥料の使用率増加、土壌汚染
・化石燃料の使用率増加
・有害物質の発生
・糞尿肥料による悪臭被害、水質汚濁
などの問題が発生しています。
この問題を見て見ぬ振りした場合、どんどん環境が悪くなり、尚且つ人々が生活するうえで欠かせない農業の基盤を脆弱にすることにも繋がりかねません。
そこで、冒頭でも解説した「循環型農業」に注目が集まっているのです。
循環型農業というのは、従来の化学肥料や農薬などだけに頼るのではなく、一般家庭や畜産業、工業などから出た本来ならば廃棄する物を肥料として活用し、資源を循環させる農業のシステムを指します。
そうすることで、人間をはじめとした生態系の範囲内で農業を回していくことができるようになるため、先ほど挙げた現代の農業における問題点の解決に繋がっていくのです。
では、そんな循環型農業には、一体どのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。
具体的な事例を参考にしながら、詳しく見ていきましょう。
・家畜のフンを堆肥化
循環型農業の一環として、家畜のフンを堆肥化し、それを畑へ還元するという取り組みがなされています。これは、循環型農業の活用事例として非常にポピュラーなやり方ですので、ピンと来た方もいるでしょう。
このような取り組みを行うことで、肥料にかかる費用を削減することができたり、土壌への負担を減らしたりできるというメリットがあります。
しかし、家畜のフンを発酵させ、肥料を作り出すための施設を用意する必要があったり、大量に投下する事で汚染に繋がってしまったりというデメリットもあります。
そのため、個人単位での取り組みではなく、地域や各農業団体が一致団結して取り組んでいく必要があります。
●合鴨を田んぼに放つ
続いては、合鴨を田んぼに放つという事例です。
これは、自然農法としても広く知られていますが、循環型農業の取り組みの一環でもあるのです。
合鴨を収穫が終わった田んぼに放つことで、
・除草効果
・防虫効果
・肥料効果
などを得ることができるのです。
この取り組みを行うことで、除草剤や防虫剤、肥料にかかる費用などを削減することができますし、カモは人間の食糧にもなるため、上手く循環させることができるのです。
ただし、田んぼに放つカモは1匹や2匹ではないため、取り扱いが大変というデメリットもあります。
●アクアポニックスの活用
そして、アクアポニックスの活用も頻繁に行われています。
アクアポニックスというのは、
・水産業(Aquaculture)
・水耕栽培(Hydroponics)
を掛け合わせた言葉です。
具体的には、養殖している魚などの糞尿を微生物によって分解させ、それを肥料にするのです。
アクアポニックスを活用すると、農薬や化学肥料などを使わず済みますので、安全性の高い、美味しい野菜を作れるというメリットがあります。
しかし、導入費用が比較的高く、必要となる知識も多いため、予算と専門スキルを持った人材を確保しなければならないというデメリットもあります。
循環型農業に関して、“普通の農業より環境に優しいもの” という何となく良いイメージで、実際に人々の生活に密接に関わりがあるというイメージが湧きにくいのではないでしょうか。
そこで、しっかりと人々の暮らしを支えているというのが分かる宮古島の事例をご紹介します。
宮古島は、四方が海に囲まれており、大きな河川もなく、飲み水をはじめとした生活用水や農業用水等はすべて地下水に頼っています。
1989年には、地下水が飲み水として使用できない手前まで水質汚染が進んでいるという事態に陥ったことがありました。主な原因は、化学肥料の過剰使用・家畜のふん尿・生活排水の地下への浸水等でした。
その問題を解決に導いたのが循環型農業です。
まず、水質汚染の原因になっている家畜のふん尿を含め、島から排出される生ごみ・剪定枝・バカス(サトウキビの搾りかす)・下水汚泥等の有機性廃棄物を微生物の力で発酵処理することで、環境に優しい有機質肥料を製造します。
その有機質肥料を島の農家さんに利用してもらうことで循環型農業が成立します。
島で発生するゴミを肥料の原材料としているため、ゴミ自体の量も減らすこともでき、焼却処分する量も必然的に減らすことができます。よって、CO₂排出量が削減され、地下水を含めた環境保全にも繋がります。
実際にこれらの取組みを行っているのが、当社のグループ会社である(株)S&Kみやこ島です。この取り組みは「エコアイランド宮古島」という島の環境を守り、いつまでも住み続けることのできる島を作るための活動としても注目されています。
(株)S&Kみやこ島は、宮古島から出る全ての有機性廃棄物を肥料として再利用することを目標として現在も日々人々の生活を陰から支えています。また、S&Kみやこ島の事業所でも循環型農業の一環として、パパイヤや島唐辛子、マンゴーなどをはじめとした農作物を育てています。
循環型農業というのは、これからの農業をより活性化させていくために必要な取り組みであり、人々の生活を支えているという一面もあります。
名前だけ聞くと、非常に難しく、複雑なイメージを持ってしまうかもしれませんが、実際の事例などを見てみると、そこまで難しい取り組みではないのです。
また、循環型農業に取り組むことで、環境保全や地域への貢献ができるだけではなく、農業従事者の手間やコストを削減することにも繋がってくるため、是非導入してみてください。
当グループ会社にて運営している「和食しゃぶしゃぶの店 和饗」もその取り組みの一つです。
●KYOWA KAKO 循環型農業事業|AGRICULTURE & FOOD
https://kyowa-kako.co.jp/business/agriculture-food/
●和食しゃぶしゃぶの店 和饗
http://wakyo-ecofarm.co.jp/shop/
●リサイクル堆肥×エコアイランド宮古島
https://eco-island.jp/eco-project/eco43/